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2020年1月3日金曜日

【ご報告】JPDU版ピースコ制度(仮称)ヒアリング結果

新年あけましておめでとうございます。
今年もJPDUならびに広報部をよろしくお願いいたします。

新年一発目は昨年立ち上げたパーラ版ピースコ制度(仮)について続報リポートです。
ぜひお読みください。

以前の記事→【https://blogjpdu.blogspot.com/2019/11/jpdu.html
この制度に関してのご意見フォーム→【https://forms.gle/22rogasyCEY6SoH2A

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 [Index]

  1. ヒアリング実施日時、および出席者
  2. アカデミックディベートにおけるピースコ制度概要
    1. 制度導入の背景と目的
    2. 現行制度の趣旨
    3. 足許での利用状況
    4. 制度の運用方法
  3. パーラメンタリーディベートへの導入に際して検討すべき論点
  4. 今後の検討の進め方
  5. 検討室役員紹介
  6. フィードバックの受付

1. ヒアリング実施日時、および出席者

実施日時: 2019/12/22 (日) 13:00~14:30
出席者:
  • NAFA
    • 小山翔様 (KESS 4年、NAFA代表)
    • 柏木裕加里様 (AGU ESS 4年、NAFAピースコ制度担当)
    • 瀬戸麗斗様 (WESA 3年、NAFA次期代表)
  • JPDU
    • 香川沙也 (AGU ESS 3年、JPDU副代表)

2. アカデミックディベートにおけるピースコ制度概要

制度導入の背景と目的

  • アカデミックディベート界でピースコ制度が導入されたのは十数年前のこと
  • 当初は大学間のディベートスキル面での格差是正よりも、ジャッジコンフリクトの管理とコネクション面での不公平の是正を主目的とした制度だった模様
    • 個人的に他大学のコーチをしているディベーターの登録と管理
      • 大会におけるジャッジのコンフリクト管理を適切に行うため、他大学に定期的に出入りしているディベーターをNAFAとして把握しておく必要があった
    • 大学間の属人的なコネクションの不公平の是正
      • 中小大学が他大学の上級生をコーチとして招聘する際、他大学の上級生と元々コネがある大学や、声が大きい大学が得をする傾向にあり、この属人性を是正すべきという意見があった

現行制度の趣旨

  • 現行のピースコ制度は格差是正にとどまらず、より広い意味で「上級生を必要とする大学に対し、他大学の上級生を紹介、派遣する」制度に変容してきている
  • 派遣を受ける大学のニーズが多様であり、NAFAとして制度の目的や趣旨を特に絞っていない状況
    • 大会で勝てるようになりたい
    • (大会の結果にはこだわらず)基礎教育をしてほしい
    • 新歓やESS内でセク決めをする際の勧誘を手伝ってほしい
    • 精神的なサポートをしてほしい (やめそうな人の引き留めなど)
  • そのため、「強くなってピースコ制度から卒業する」、「制度の利用側から制度を支える側に回る」といった動きはあまりなく、一部の強豪大学以外はとりあえず申請を出して上級生を派遣してもらおうとしている(詳細は後述)
    • 現在はピースコ制度を利用している大学の方が、利用していない大学よりも多い状況

現状の利用状況

  • 関東では約10大学が制度を利用しており、その他に関西、東北、九州で運用されている
  • ピースコで派遣される上級生の出身は、主に慶應 (KESS)、早稲田 (WESA)、青学 (AGUESS)など
    • 慶應→筑波、青学→東大などが近年の主な派遣実績

制度の運用方法

対象大学の選定

  • 現在、明確な利用可否の基準はなく、NAFAが希望大学から申請を受けた後に様々な要素を勘案し優先順位づけを行っている
    • 大会結果
    • 大会参加状況
    • 上級生の人数
    • アクティブな部員の人数 など
  • 以前は「NAFA褒章」と呼ばれる大学の年間ランキングに基づき、制度の対象となれるか否かが決められていたが、同じ大学でも年によって強さに波があるため当該基準は撤廃された
    • NAFA褒章は年間5つある全国大会 (パーラのJPDU Tに相当)の結果に基づき算出されるため、制度上「ある大学の、主に3年生がどれくらい強いか」の指標にしかならない
    • 今年の上級生が強いからと言って、下級生が育っている=来年以降の上級生が強いわけではないため、定量指標だけで足切りを行うのは難しい

ピースコ担当者のリクルーティングと選定

  • ピースコ制度によって派遣されるディベーターは、主に各大学の4年生で、院生や社会人が担当する例も一部ある
  • NAFAが年に一度各大学に対し来年度ピースコを担当する意志の有無を調査し、立候補制で候補者を募る(具体的にはチーフLINEにお知らせを流して立候補を募っている)
  • ピースコ担当者の応募基準は特に設けていない
    • 他大学に教えに行くくらい自信がある人は、基本的に一定以上の実績を残しているケースが多いため
    • 新歓の手伝いや精神的なサポートが主目的であれば、ディベーターとして強い必要がそもそもないため

ピースコ担当者に対する報酬

  • 現状、遠隔地に出張した場合の交通費のみ支給しており、それ以外の報酬や費用などはNAFAからは出していない
  • 派遣先大学とピースコ担当者の協議の結果、交通費や一定の報酬が支払われているケースもあるが、あくまで当事者間の話し合いに基づいて金銭のやり取りが行われている

派遣先大学とピースコ担当者のマッチング

  • ピースコの利用大学の募集、担当者の募集、マッチングは同時並行で行われる
  • マッチングに使う情報は以下のようなものを収集している
    • 制度の利用を希望する大学
      • ピースコの利用目的 (強くなりたいのか、他の理由で制度を利用したいのか)
      • 具体的にサポートしてほしい内容
      • (もしあれば)誰に来てほしいかの具体名
    • ピースコに立候補するディベーター
      • (もしあれば)どこの大学を見たいか
    • ピースコ担当に立候補していない上級生に対し、応募大学側から「この人に来てほしい」という指名があった場合は、NAFAが交渉を行う
      • 断られる場合もあるが、交渉の結果派遣が実現することもある
    • ピースコ担当者は、原則として1人が1大学を見る決まりになっているが、掛け持ちも一部行われている
      • 1人が複数大学を見ると、大会でのジャッジコンフリクトが多数発生して大会運営が難しくなる。実際に関西のある大会はコンフリクトが増えすぎて開催できなくなってしまったため、掛け持ちは原則禁止になった
      • 一方で制度の担い手が不足しているため、掛け持ちも一部認めざるを得ない状態は続いている

ピースコ担当によるサポート内容

  • 担当者は派遣先大学に対し、以下のようなサポートを行うことが多い
    • LINEなどでマターの添削をする
    • SkypeやFace-to-faceで練習ディベートのジャッジをする
      • 遠隔地の大学に対しては基本的にオンラインでの指導を行い、年に1~2回程度実際に出向く
      • 大会前の1~2週間は普段よりも多くサポートする
    • 合宿などに参加して指導する
  • サポート内容について、NAFAとして特にガイドラインは設けておらず、いわゆる「標準モデル」も存在しない
    • パーラと異なり大学によって練習方法が大きく異なるため、標準化が難しい
      • アカデはパーラとは異なり、年間を通じて論題が固定されており資料を用いるため、マターや資料の流出を避ける目的で練習は自大学に閉じて行われることが多い
      • 練習ノウハウや形式などが一般化されておらず、大学間でシェアする機運も高くはない
  • 具体的な関わり方はマッチングの過程で利用大学とピースコ担当者が相談して決まっており、個別ニーズへの対応がしやすい反面、運用上の問題も生じている (詳細は後述)
    • 最も大きな問題は、応募大学とピースコ担当者の間でサポートをどのように行うかについての合意ができず、充分なサポートが行えていないこと
      • ピースコ担当者は「制度に応募してきたのだから、派遣先の大学が具体的にお願いしたいことを伝えてくるべき」と思っており、派遣先大学側から連絡があるまでアプローチをしないことが多い
      • 応募大学側は、「練習ノウハウがなく、そもそも何をお願いしていいか分からない」ことに加え、「他大学の4年生以上の人にあれこれお願いすることに心理的にハードルがある」
    • 熱心な担当者は派遣先大学に対して様々なきめ細かいサポートを行う反面、名ばかりであまり関与しない担当者もいる

ピースコ担当者と、出身大学との関わり方

  • 基本的に自由で、人によってまちまち
    • ピースコ先に関わりつつ出身大学のエジュケも行う人や、ピースコ先にコミットして出身大学との関わりが薄くなる人もいる
    • アカデ特有の事情として、マターや資料の流出を避けるためにピースコ担当になった上級生を練習に呼ばない、グループLINEに入れないケースはある

実施状況のモニタリングと効果測定

  • 地方を跨いでピースコを派遣する場合は、万単位での交通費補助を出すため、ピースコ担当者と派遣先大学それぞれに報告書を出してもらう
  • 年間通じての効果測定はアンケートやヒアリングを基に定性的に実施しており、定量的な効果測定は行っていない (効果の定義が難しく、行えていない)

ピースコ制度からの自立

  • 強くなって制度から自立したケースはほとんどなく、足許でむしろ制度の利用大学が増えている状況
  • 制度の趣旨として「強くなること」以外の目的も含まれているため、いかようにでも理由をつけて応募できてしまうのも一因では

3. パーラメンタリーディベートへの導入に際して検討すべき論点

制度を導入する趣旨の明確化

  • アカデミックディベートで導入されているピースコ制度は、制度の趣旨をある程度幅広に設定する (ないし明確化しない)ことにより制度上様々なニーズに対応できるメリットが存在する一方、支援対象となる大学が制度に依存してしまう、自立する意欲を削いでしまうデメリットが存在
  • そのため、パーラで同様の制度を導入する際は、ある程度明確な趣旨や目標を設定し、支援対象の自立を促すような制度設計にすることが望ましい

制度の対象となる大学の選定基準の明確化

  • 制度の対象となる大学 (=困っている大学)の定義・基準を明確化し、限られたリソースを公平かつ効率的に配分する必要がある
  • パーラでもNAFA褒章のような年間ランキングを策定し、各大学の状況の定量的な見える化と相対化が必要では
    • その際、上級生大会のみならず学年大会の結果も考慮することで下級生のエジュケ状況を把握することも重要

適切な水準の報酬設定による担い手の確保

  • 交通費の支給による負担軽減に加え、非金銭的なものを含む明確な報酬設定が必要
  • 金銭の授受が発生する場合は、財源の議論 (メリデメの整理)も行う必要がある
    • JPDU予算から支給
    • 派遣先の大学が負担

マッチングの精緻化による派遣先とピースコ担当者のモチベーション担保

  • (前提として、制度の趣旨をどのように設定するかによるが)派遣先大学の制度利用目的と、ピースコ担当者のモチベーションの方向性、レベル感を合わせることが制度の円滑運用のために重要

「標準的なサポートモデル」の策定による支援制度としての品質の担保

  • ピースコ担当者の職務を規定することにより、ミスコミュニケーションや支援の空洞化を防止する
  • ガイドラインで「最低限してほしいこと」と「双方の合意に基づき+αで行うサポートの例」を明確化しては
    • 最低限してほしいこと:
      • 月に1~2回練習を指導する (対面でもオンラインでも可)
      • LINEなどでの問い合わせに対応する (ディベートや部活の運営面での相談に乗る)
    • 双方の合意に基づき+αで行うサポートの例:
      • 合宿に参加して指導する
      • 提供ジャッジ探しを手伝う
      • 新歓やセク決めの勧誘を手伝う

効果測定手法の確立によるピースコ担当者の評価、および自立時期の設定


4. 今後の検討の進め方

  • 2020年1月頃から東京近郊の大学を対象にトライアルを行い、制度の詳細設計を進める
  • トライアルは以下の中から2大学程度に協力を依頼する
    • ESS系
      • 青山学院大学
      • 成蹊大学
      • 津田塾大学
    • DS系
      • 上智大学
      • 学習院大学
  • JPDUTを含むIV大会における各Institutionの年間ランキングの算出を行う


5. 検討室役員紹介

素案の設計やヒアリングの実施などの取り組みをする役員をご紹介させていただきます。
  • 有田瑞生 (UTDS 3年)
  • 香川沙也 (AGU ESS 3年、JPDU副代表)
  • 五天美帆 (Tsuda ESS 3年)
  • 細田林太郎 (Seikei ESS 3年)
よろしくお願いいたします。

6. フィードバックの受付

この度のヒアリング結果について、下記Googleフォームにてフィードバックを受け付けます。
https://forms.gle/22rogasyCEY6SoH2A

また、ご報告記事(11/5)に記載した意見箱にて返信の有無について問い合わせがございましたが、それぞれのフォームに検討室から返信する予定はございません。ですが、個人を特定する情報には配慮し、匿名にした上で意見箱に寄せられた貴重なご意見はディベート界の皆様に共有させていただくことを検討しております。

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以上です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします!