2019年3月26日火曜日

Tokyo Mini (Wata Nationals Yaga Championship)に際して②〜溝上さんからの寄稿文〜

こんにちは、広報の木對です。
いつのまにか3月下旬ですね、卒業・進級などなど、おめでとうございます!

私も大学を卒業するので、JPDU、特に広報のブログ担当のお仕事を卒業します。
寄稿してくれた皆さん、読んでくれている皆さん、そして仕事を手伝ってくれたJPDU広報の皆さん、ありがとうございます!

ということで、最終回を飾るのは、先日(??)Tokyo Miniで優勝し、見事Grand Final Best speakerに輝いた溝上さんです!!
後輩と組んで優勝したドラマチックなストーリーと、ディベートに関するお話をお楽しみください。

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東京大学英語ディベート部(UTDS)OBの溝上です。先日(?)開催されたTokyo Miniで幸運なことに優勝することができましたので、その感想(と、ついでに最近思っていたこと)を、先日(??)JPDU Blogに依頼されましたので共有したいと思います。遅筆(怠惰)で本当にごめんなさい。
以下、見出しです。1個目以外大会関係ないですね。
1. 大会と大会に向けた準備について
2. 最近の日本のディベートのトレンドについて
3. ディベートを長々と続けてきたことについて


1. 大会と大会に向けた準備について
Tokyo Miniには大学の後輩の堀口さんと出場しました。8月ごろ誘われて元々Japan BPに出場する予定でしたが、Japan BPの日程に自分の予定が重なってしまったため、代わりにTokyo Miniに出場するという流れでした。


現役の後輩に大会に誘ってもらえたのはとても嬉しかったですが、あまり考えずに次の2日大会に出場しよう!ということでJapan BPに出ることにしたのはちょっとハードル高くしすぎたかなーとも思いました笑(結局Tokyo Miniになってさらにハードルは上がったのですが)


やるからには結果を出そうということで、かなり練習はしました。平日夜に週1回LINE電話でPMスピーチ+フィードバック、2週に1回程度週末にラウンドをするようなサイクルだったと思います。意識していたのは、どういう頭の回し方を限られた時間でスピーチを作れるか?プレパで行き詰まりにくいか?どのように説明すると、どう受け取られるのか?自分の主張の証明責任をいかに自覚するか?といった点だったと思います(うろ覚え)。基本的に堀口さんに対話を挟みながら考え方を教えるスタイルでしたが、自分の思考の整理・体系化にもかなり役に立ったと思います。
人に教える行為は責任も発生して真面目に調べたり人に聞かねば、という緊張感が出ますし、なぜそのようなやり方がいいのか?といった自分のスタイルの言語化・客観視の機会になるのでむしろ教える側の成長に繋がると思っています。学年を問わず、おすすめです。


本番では、紆余曲折経てブレイクし、決勝は比較的楽な位置を引いて優勝することができました。展開はドラマチックでしたが、試合の内容としては普通の話をしっかり分析・描写を交えて立てたら幸運もありつつ勝ったという印象です。(R2だけは堅実というよりテクニカルな勝ち方に逃げました笑)
とはいえ、数か月努力してきた2年生の後輩を連れて優勝できたのは非常に嬉しかったです。
特に、決勝ではパートナーも最初に練習し始めた頃から見違えるように堅いスピーチをしてくれたので、感無量でした。ついでに言うと、R3ではパートナーが大体説明してくれた後で何をさらに言えばいいか分からなくなり、パートナーにスピーカースコアで負けるという展開もありました。嬉しいような悲しいような・・・


とにかく、誘ってくれたパートナーだけでなく、練習に付き合っていただいた人たちには改めて感謝します。ありがとうございます。
可愛いチームですね!!!

仲の良さが伝わって来ます!!!




2. 最近の日本のディベートのトレンドについて
「Say the right thingsの幻想」
ここでは、日本のディベートのトレンドでなんとなく感じていることについてぼやきます。
※個人の意見です。恐らく半年周期くらいで言ってることが変わる可能性が大いにあるので、自分で考えて納得のいく部分から参考にしていただけたらと思います。


日本のディベートでは(恐らく1年前の自分含め)、「何を言えばいいか?」への意識や問題意識が強いのと比較して、「どう説明すればいいか?」への意識が弱いと感じています。


「いい話をすれば勝てる!」「こういうモデルを言えばいい」「結局何を言えば良かったんですか?」「どういうアナリシスが必要なんですか?」というスピーチのネタに関する議論や質問は多いのですが、逆に「このイラストはどう伝わりましたか?」「どういうワーディングだったら取れましたか?」「この分析は1個目の議論に繋がってるように聞こえましたか?」というプレゼンに関する議論は比較的少ないと思います。しかし、少なくない場合において敗因は、「モデルがどう相手の議論を削るのか?メカニズムがなかったので評価できず負け」「面白い分析はあるが、結局何が言いたいのか分からない/モーションをどう肯定したのか見えずに負け」といった、説明力の差だったりします。


当然「良い話」の方が勝ちやすいですし、「議題から遠い話」は勝ちにくいです。しかし、試合ではより説得的だった/論理的に説明されていた議論が勝つので「良い話」であったとしても分析が不足していれば、分析され、重要性が説明されている「議題から遠い話」に負けることになります。なので、「良い話」はあくまで証明や説明が容易な議論、或いは相手が反論しにくい議論として他の議論と相対化した方がいいと思います。
実際、スピーカープライズに入るような人でも、予選の試合でもし他のまともな人が見てたらドン引きするような変なケースを使って、その部屋にいた相手とジャッジを強引に抑え込んで勝つこともたまにあります(自戒)。また、難しい議題でなければ、話すべきネタは皆思いつきますし、皆似たような話をすることになるので、そのときの差は説明力になります。
即興形式のディベートでは議題が提示された後、思いついた議論の中で一番強いケースを立てる必要があります。「良い話」を唯一の正解として求めて、「良い話」が思いつかなければ思考停止するような考え方は成長と結果に繋がりにくいと思います。
とはいえ、準備時間以外ではいくらでも調べたり、先輩に聞くことができるのでリサーチはしましょう!!!!!難しい問いや議論対立に答えるための
証明のアプローチは、多くの場合過去に展開された議論やその派生なので説明力をつける上でも色んなニュースや文献を調べるといいと思います。


じゃあどうすればいいのか?という部分は優勝回数数知れぬKDS OBの方や、WUDC ESL Grand Finalistのブログの言と大体被ります。スピーチと各議論の最初で何を示すのか?目指すのかはっきりさせること、自分で主張した内容の証明責任を見抜いて理由を問わずとも腑に落ちるところまで理由/分析を掘り下げること、を自然にできるように訓練することだと思います。
個人的には2, 3年生の頃は分析を深めることは必死でやっていたものの、スピーチが分かりにくいとよく言われてました。言った事柄が試合の中でのどういう意味を持つのかを説明することや、分かりやすい比較や図式を示すを入れるようになってから評価が安定して高くなった気がするので、説明の仕方は本当に大事です。


一応注記として、単純に説明をわかりやすくしたり、分析や描写を足していくことに以外にも、相手の反論をいかに織り込むか?といった視点や、示した帰結が議題を肯定する理由になるための前提の説明をしているか?など、上達する上でより複雑かつ重要な視点もあります。とはいえ、最近ジャッジしていて昔より聞くアーギュメントの分析の量が少ない、雑に言えば平均的スピーチの火力が下がったと思うので「何を議論するうえでも必要な基礎体力としての説明力」を意識した方がいいと思って書いています。逆に、昔より4th Argumentみたいな変な議論を全力で建てるチームは減った気がするので基礎体力がつくとかなり良くなる気がします。
こんな感じで脳内再生されますね!



3. ディベートを長々と続けてきたことについて
7年間この競技に関わってきました。大学生活を一個の活動に本当に捧げてしまった・・・と思うものの、替え難いものを多く得られて関わってよかったと思っています。競技の性質上、説明が威圧的になるのでそのままのディベート力はほかの場面で正直活かしにくいです笑。社会問題に少しアンテナを張るようになってこと、人前に立つのが苦でなくなったこと、など他小さい収穫もありましたが、一番生涯活きるのは、築いた交友関係だと思います。大会以外の休日や夜の飲み会などなど、この活動で得た友人のおかげで楽しく過ごせています。ありきたりですが、この活動をしていなかったらこんなに多くの友人と仲良くできなかったと思います(内向人間)。


一大会の感想文の趣旨から脱線しますが、この活動を通して関わってきた皆様、本当にありがとうございます。5月以降ディベートに関わる予定は全くないのですが、どうぜまだ関わる気がするので、ディベート内外問わずほどほどに仲良くしていただけると嬉しいです。
溝上さんの優しさがあるからこそ、溝上さんの周りに人が集まるんですね。
本当におめでとうございます!

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