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2018年12月12日水曜日

梅子杯に際して〜小林さんからの寄稿〜

こんにちは。最近の楽しみは雨の中傘をささずに帰ることです。木對です。
皆さんは風邪をひかないように、ちゃんと傘をさしてくださいね。

さて、本日は梅子杯でChampion&Best Speakerに輝いた小林さんから寄稿文をいただきました!

一年生ながら様々な大会で活躍されている小林さん、ブログの内容もさすが!という感じです〜〜

それでは小林さんの寄稿文をお楽しみください!

〜〜〜〜〜
 こんにちは。KDS1年の小林真脩です。光栄なことにJPDUブログの執筆のお話を頂いたので、先日行われた梅子杯のブログを書かせて頂きます。技術的に参考になる話でも運営や大会形式の参考になる話でもなく、ただの1年生の感想文に終始してしまっていますが、お読みいただければ幸いです。記事は、大会まで、大会の感想、謝辞という構成になります。

大会まで
 梅子杯は、KDS1年の川口結衣とチームを組んで出場しました。大会としては秋T、すばるカップ(今年から始まったジョイント有のNA大会)、そしてこの梅子杯と3大会においてこのチームで出場したのでずっとユイと組んでいたという感じがあったのですが、秋T後はユイはPre-NEAOに向けそちらのチームで練習しなければならなかったので、2か月間ずっとこのチームで練習していたというわけではなかった気がします。
 しかし、その時間の中でも調子は最悪でした。日吉などのラウンド練習では負けに負け続け、ごくまれに勝てたとしても「負けにしようと思えば普通に負けにできるラウンド」というフィードバックばかりもらうなど散々でした。特に自分たちのチームはリバッタル/エンゲージが課題で、どちらもファーストを得意としていたスピーカーだったので、反論できてない反論できてないと言われ続けました。ファーストであってもLOでは反論するわけだしリプライではコンパリもするわけだしリバッタルができない言い訳にはならないけれど、役職としてゴリゴリゴリと反論をするという経験が2人ともあまり多くなかったのは事実でした。
 ロールは自分がセカンドをやるということで落ち着きましたが、それでもなお解決策は見えないままでした。梅子杯の1週間前に行われたすばるカップでは予選を全勝することができ、一応チームとして機能することができた経験というかなんとなくの成功体験のようなものは得られたものの、本番直前金曜日の日吉練のNAでもしっかりと負け、大きな不安を残したまま本番に突入することとなりました。

大会の感想
 大会の感想は、各ラウンドであったことというよりは大会全体を通して感じたことという形で書きたいと思います。結果から申し上げますと、予選全勝かつブレイクラウンドも勝ち進んでチーム優勝、パートナーのユイは個人3位とGFベストスピーカー、自分もありがたいことに個人1位をいただくことができました。直前までの文章の流れからすると一体何が起きたんだという感じですが、自分も、何が起きたんだろうなあなんかうまくいったなあという感じでした。なぜそうなったかと個人的に思うかなども絡め書いていきたいと思います。

・具体性って大事
 コンストに関してもリバッタルに関しても、とにかく今大会や今大会への練習において思った大きなことの一つでした。
 プラクティカルっぽい話でもプリンシプルっぽい話でも、ディベートにおいてよくあるロジックだけどよく考えると現実世界で言うとあまりどういうことを言っているのかよくわからないロジックが自分の中でいくつかあったのですが、それってかなりやばいことだなと気づきました。たとえば論題にchildrenがでてきたときに、アーギュメントベースでいきなり考えてしまって、実際に何歳くらいの子供を想定しているのか、具体的に親や教師が行うどのような行動を想定しているのかをすっ飛ばしているようなことでした。ディベートに慣れてきていたり古典っぽい論題に取り組むときにありがちなことかなと思います。本来ならそういった、具体的にどういうアクターの話をしていて具体的に彼らがどういう行動を取って具体的に誰にどう影響するのかというところが論の前提であるはずなのに、そこが欠けてるのってやばくない?と気づいてある程度改善するメンタリティを持てました。アクター分析大事アクター分析大事というのはよく言われることですが、ああこういうことなのかとなんとなく実際に理解できました。
 具体性を改善することはコンストにもリバッタルにもすべて活きると思います。コンストの説得力が増すというのはもちろんです。またリバッタルにおいても、ディベートで往々にして分析が欠けがち/デッドロックになりがちなのはこういった部分で、アクターの具体性を詰めることで相手のケースをある程度潰したりもできるなあと感じました。
 これが比較的できたと感じたのは、R2と、強いて言えばSFでした。R2THR the dominant narrative that it’s taboo to talk about “sexual related things” (inc. sexual preference, sexual experience, sexuality etc.) openly in public. というモーションではgovernmentでしたが、ある程度有機的なロジックを用いてsexual minorityなどの問題が解決されるプロセスを説明できたかなあと思うし、SFでも、よいケースとは言えなかったものの、とにかく最低限何か具体的な変化を証明しようと思って話した分析なり例なりがジャッジに取って頂けていて、勝ちに繋がったのかなと思います。
 逆にここができなかったと感じたのはR4で、論題はTHW prohibit art which glorify suicideというものでサイドはoppositionでしたが、自分たちが話していたアーギュメントのインパクトや過程が分かりづらかったということでスプリットになってしまいました。ディスコースの論は、ディベートではよく聞くものの実際にはあまりよく分からないアーギュメントの代名詞的存在だと思いますが、ディスコース!と大まかに括るのではなく、自殺したい人にはいろいろなnarrativeが必要、など具体的で細かいラベリングをするべきだなと感じました。

・エンゲージ
 大会までの過程でエンゲージできてないエンゲージできてないと言われすぎてもはや「エンゲージってなんだ…?」という状態になっていましたが、個人的にたどり着いたのは相手のベストケースを上回ろうということでした。まあ当たり前だろというツッコミは置いておきます。リバッタルといっても、細かいリバッタルは相手がどんな論をどう言うかにもよるしプレパであまり考えられないなと思っていたのですが、相手を最大限assumeしたケースがどのようであるかというのはプレパの中でもイメージできるし、そこをどう上回るかというのはいわゆる勝ち筋にも関わってくるところだと思いました。まずはWhat their best/worst case looks like? What our best/worst case looks like? という大まかなところのコンパリをするよう心掛けました。
 これが比較的できたと思ったラウンドはR2R3で、特にR2では、あらかじめどう相手を上回るか考えていたおかげで、DPMの時点で比較的クリアなエンゲージができた気がして、ジャッジにもそれが伝わっていたようで嬉しかったです。

GF
ラウンドごとの感想は書かないといいつつも決勝戦については印象深いラウンドだったので書きます。
個人的なことになってしまうのですが、自分は決勝戦が好きではありませんでした。高校の時から、アカデミックの全国大会でもHPDUでも(結果としては勝ったもののひどいスピーチした)、大学に入っても、銀杏杯でもすばるカップでも、常に決勝でテンパっては失敗してを繰り返してきました。
「決勝には魔物が潜んでいる」という言葉は嫌いです。本当に魔物が潜んでいるならいつも予想外の結果が出るはずですが、先輩たちや海外のディベータ―などを見ていても、本当に実力のある人は、GFで多くのオーディエンスがいるなかで難しいモーションが出ても安定したパフォーマンスで結果を残していきます。決勝でやばいスピーチをしてしまうというのは、決勝の特有の雰囲気の中でも冷静に考え喋ることができるだけの確立した実力がないというだけなので、「まあGFだからね」というだけで済ますことは許されないなと感じます。
 そのようなわけで、自分と、ディベートの大会のGFはずっと因縁の深い仲でした。しかし、今回のGFの前は不思議なくらい落ち着いていました。単純に疲れていたか、また相手は愛花だし銀杏杯みたいにどうせ負けるんだろうなあという諦めがあったのか、今度のGFは結果は気にせずとにかく悔いのないスピーチをしようという意気込みがあったからかよく分かりませんが、なぜかとてもスン…としていました。
 そして論題が発表されます。論題はTH opposes organized religionでサイドはoppositionでした。個人的にはなんとなくgovernmentのほうがよかったので「オポ?????????」となっていましたが、具体的にorganized religionにはどういうベネフィットがあるだろう…と落ち着いてプレパを進め、試合に臨みました。
 結果は勝ちでしたが、4-3スプリットということで、ジャッジが違ったら負けていた試合だったのかなあなんて思いました。しかしその結果よりも、GFでちゃんとスピーチができたということが嬉しかったです。いつもただ「人多い人多い人多い、何も思いついてないよあっあっあっあっ」となるだけのGFで普通のスピーチができたということが嬉しかったです。もちろん満足のいくスピーチでもよいスピーチでもなかったけれど、普通のラウンド並みのスピーチができたことが自分にとっては大きかったです。ハードル低っっっという感じですが、1年生大会のGFでここまで思ってしまうほどGF嫌だったんだなあと思いました。GFで自分の中ではいつもと違うことができたので、たぶん結果が準優勝でも悔いはなかったと思います。
よく、大会の結果だけでない何かでもディベートへのモチベーションを見つけられるとよいという話を聞きます。ディベートのうまい人は、スピーチをしていて楽しいとかマターを考え付くのが楽しいとかそういうことだと思うのですが、自分はプレパ中もスピーチ中もただ必死なので、ディベート中にディベートそのものが楽しいと思えた経験はそこまで多くない気がします。それでも、100%いいマターが思いつかなくても、100%満足のいくスピーチができなくても、前にできなかった小さなことがだんだんできるようになるプロセスであったり達成感であったりを味わえるのも、ディベートの醍醐味の一つなのかなと感じた大会でした。
パートナーの川口さんも、個人3位とGFベストスピーカー、
本当におめでとうございます!


・優勝という結果をどう捉えるか
というわけで、無事優勝することができて、結果としてはよい成績を残すことができましたが、感想としては良くも悪くも1年生大会の結果であるなと感じています。
夏からこの大会に向けてしてきた努力がチーム&個人1位という目に見える結果で報われたことは素直に嬉しいです。しかし、大会で負け悔しがっているみながさらに練習を積んでくるのは明白ですし、この梅子杯に出場していない同期のディベータ―でも上手いディベータ―はうんとたくさんいます。ここでよい結果が出せたからと言って気を緩めてはすぐ抜かれます。誰がどのような結果を手にしたにせよそれはこの1年生の秋の時点のものに過ぎず、ここからが本番だと思うので、勝って兜の緒を締めよというマインドで頑張っていきたいと思います。
個人1位、本当に素晴らしいですね!


謝辞
 まずパートナーのユイに感謝したいです。秋TでブレイクはしたもののQFで負けてしまって、それからも練習は先の見えないままで進んできた大会ラッシュをとりあえずは優勝という形で終えられて本当によかったです。ずっとどうファースト改善したらいいのか分からないと悩んでいたのを近くで見ていただけに、GFの直後に先輩に褒められて泣いているユイを見ていた時は自分も嬉しかったです。自分の出す微妙なマターを信じてきてくれてありがとうございました。3位&GFベストおめでとう。
 そしてまた指導してくださった先輩方に感謝したいです。名前をあげていくと本当にキリがなくなるのでここでは挙げられませんが、自分たちのチームがこのような結果を残せたのは日頃の練習などで自分たちを見捨てずフィードバックをくださる先輩方のおかげです。もらった一つ一つのフィードバックが試合で活きているのを実感できて嬉しかったです。また、技術面だけでなく、かけてくださる激励の言葉も頼りになります。これからもよろしくお願いします。
 また、競い合って励ましあうサークル内外の同期のディベータ―たちにも感謝したいです。自分は、個人賞などを貰っても「あのスピーチしたのにいいのか?」といった感情が先行しがちなので、結果そのものよりも、一緒に頑張っていた他の人が賞をもらって喜んでいるのを見たり、「賞を取ってくれてこっちも嬉しい」などと声をかけてくれたりするほうが嬉しかったりします。モチベーションも貰えます。ありがとうございます。
 そして最後にコミの皆さんに感謝したいです。モーション、タブ、会場、大会進行、大会におけるすべてのことが運営のみなさんのおかげで可能になっていると思います。自分たちはこうしてただ大会に参加していくなかで、voluntary incentiveでここまでのことをやってくださるのは本当にありがたい限りです。改めてありがとうございました。

 この経験を糧にこれからも頑張っていきたいと思います。
良い写真ですね〜〜〜!本当におめでとうございます!!!


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